by Susan Beaver Thompson
今から60年以上前、アラバマ州バーミンガムで公民権運動家たちが人種差別撤廃のための組織を立ち上げたことは、よく知られています。1963年の春には、バーミンガムにおける人種的不公平に注意を促すための座り込み、ボイコット、デモが相次ぎ、緊張は頂点に達しました。そして1963年4月12日、キング牧師はバーミンガムで正式な許可証を持っていないとして逮捕されました。
「バーミンガム監獄からの手紙」の中でキング牧師は、非暴力による抗議と社会変革の原則を打ち出し、投獄されている間にその原型を築きました。彼のメッセージは、それぞれの声、そして命は、尊敬と尊厳、そして平等に値するというものでした。そして、戦争や憎しみではなく、愛が答えであるというものです。深層においては、私たちは互いに異なっているというよりも似ているのです。ノースウエスト・フロリダ大学、ケープ・フィア・コミュニティ・カレッジ、シェパード大学で新入生の作文を教えていたとき、このエッセイは私のお気に入りの一冊でした。毎学期必ず、非暴力を求める彼の熱烈な訴えは、他のどの作品よりも多くの議論と考察を引き起こしました。その結果、生徒のエッセイの多くが私を泣かせました。
キング牧師は手紙の中で、平和を2種類に区別しています。「否定的な平和」とは、緊張感がないこと、つまり波風を立てない、争いを起こさないということと説明します。一方、「積極的な平和」とは、正義を積極的に追求することです。平和構築者であるライアン・ウォレスは、「積極的な平和」とは、「反対側」の人々と対立するのではなく、待ち受けている紛争を予期してより公正な世界を作るために現状に挑戦する」ものだと書いています。平和構築者は、変化をもたらすために暴力を用いる代わりに、非暴力による直接行動を用います。
キング牧師はこう書いています。
「非暴力直接行動は、常に交渉を拒否してきた地域社会が問題に直面せざるを得ないような危機を作り出し、緊張感を醸成しようとするものです。私たちは、自由は決して抑圧者から自発的に与えられるものではなく、抑圧された者が要求しなければならないことを、つらい経験を通じて知っているのです」。
米国では、明らかに学校や街角で暴力文化の影響が見られるます。また、自然災害よりも暴力や暴力的な紛争が、世界中で強制移住や難民の逃亡を引き起こす主な原因となっています。紛争は避けられないにしても、暴力は避けられないわけではありません。暴力は、私たちの違いに対処するための一つの手段に過ぎないからです。今こそ私たちは暴力的な対立を乗り越え、非暴力へと向かう時なのです。
ある賢明な友人が、平和構築者である私たちは単なる「反」ではない、と教えてくれました。私たちの多くは反人種差別、反差別、反抑圧を掲げていますが、同時に何かのために立ち上がってもいるのです。単なる反戦ではなく、平和を求めるのです。デフォルトでは、単に「反」であることは、敵を作ったり、「我々」対「彼ら」の状況を作り出すことにつながりやすいものです。このような敵対的なアプローチをとると、言葉でも行動でも、確実に敗北します。だからこそ、キング牧師の非暴力原則では、「人ではなく、不正と闘え」と勧めているのです。 私たちは、他者と対話し変化を起こそうとするとき、心を開き非暴力の原則を受け入れなければなりません。A・J・マストが言ったように、「平和への道などない。平和こそが道なのだ」と。協力や交渉には時間がかかるかもしれませんが、その分結果は長続きし、誰もが利益を得ることができます。
誰もが他の誰かとつながっているのですから、普遍的な変化を実現するために必要なのは、良い方向への転換点を生み出すのに十分な助走をつけることなのです。一人ひとりが、毎日、内側からそれを実現するのです。一人ひとりが学び、成長するために挑戦することができます。一人ひとりの気づきが、文字通り地球のための気づきとなるからです。
安心してください、平和と非暴力は単なるハートと虹の話ではないのです。非暴力が現実的であることを証明するものが増えてきています。効果があるのです。2011年、社会科学者のエリカ・チェノウェスとマリア・ステファンは、非暴力による運動は暴力による運動の2倍の効果を発揮し、その目標を達成することができることを実証しました。彼らの著書『Why Civil Resistance Works』(邦訳未刊行)では、1900年から2006年の間に323の抗議運動から収集したデータを紹介しています。その結果、非暴力的な運動の53パーセントがその目的、通常は政権交代を達成できたのに対して、暴力的な運動では26パーセントであることが明らかにされました。
キング牧師は手紙の中で、私たちの相互依存性についても触れています。彼はこう書いています。
「私たちは、運命という一つの衣で結ばれた、相互依存の避けられないネットワークの中にいます。一人に直接影響するものは、間接的にすべての人に影響する。もう二度と、狭量で田舎くさい『外部の扇動者』という考えで生きていく余裕はないのです。アメリカ合衆国のうちに住む者は、その境界内のどこでもアウトサイダーと見なされることはないのです。
私たち一人ひとりが、より進化した方法で紛争を管理するための、この記念すべきシフトの「ビークル」になりましょう。困難な取り組みではありますが、「地球の平和」は可能であり、それは近づいています。2013年に私が初めてピース・ジャーナリズムの旅に出て以来、多くのことが変わりました。人々は目覚め、関わりを持ち、信じるもののために行動を起こしています。平和のための先駆的な活動を行う土壌は整っていきています。
“The Way to Nonviolence” by Susan Beaver Thompson.
This article is republished from Z Network under CC BY-SA 4.0 Int.