日本共産党第17回大会第8回中央委員会報告への村上委員長代行の幹部会報告

村上委員長代行の幹部会報告

 党務報告とあわせて、議題になっている第十八回党大会までに最高時を突破する党勢(党員機関紙)拡大全党運動の推進について提案をいたします。

(一)内外情勢とわが党の活動と役割

 七中総決定いらい三ヶ月たらずの間ではありますが、この期間におけるわが党の活動とその役割は、今日の内外情勢の進展のもとできわめて重要なものがありました。またこの間、全党は「機関紙拡大月間」に意気たかくとりくむなかで、七月十五日の党創立六十五周年を誇りたかく迎え、野坂名誉議長の九十五歳誕生祝賀とあわせ、日本共産党の輝かしい歴史と伝統をうけつぎ、今後の前進にむかって決意を新たにしたところであります。

一、核戦争阻止、核兵器廃絶をめざす活動

(1)反核国際シンポジウムから原水爆禁止世界大会

 第一に強調しなければならないのは、核戦争阻止、核兵器廃絶のための活動です。まず、わが党のよびかけでひらいた「’87国際シンポジウム『核戦争阻止、核兵器完全廃絶のたたかいと平和民主勢力の共同のために―’85国際シンポジウム以後の情勢をふまえて』」は、世界の五大陸三十カ国の共産党、労働者党、民族解放戦線、平和組織の代表が参加し、大きな成果をあげました。
 シンポジウムの発言、討論をつうじて、この二年間のこの課題をめぐる運動の発展と各国の意見の一致ないし接近が顕著であることがあきらかになるとともに、このシンポジウム自体が各国の意見の一致をいっそうすすめる場になりました。各国代表は、わが党のこのイニシアチブを核兵器廃絶のたたかいへの大きな貢献としてたかく評価しました。
 わが党は、シンポジウムに、宮本議長の開会あいさつをはじめ、党代表の発言で、この課題での理論的、実践的到達点を反映するべく努力しました。とくに、この二年間に、核戦争阻止、核兵器廃絶のための運動が全体として明確な前進をとげたこと、しかし、まだ核兵器固執勢力を包囲し、孤立させるにはいたっておらず、核兵器にしがみつく勢力の「核抑止力」論をふりかざしての核兵器の廃絶に反対する反撃がたかまっている情勢をあきらかにし、「核抑止力」論をうちやぶるたたかいの重要性を強調し、反核国際統一戦線についていっそう具体的な提起をおこなうとともに、好核政府が支配する独占資本主義国での非核の政府をめざすたたかいのもつ重要性を強調しました。そして、その点からも、七中総であきらかにした社会主義国の一部による中曽根内閣と社公民諸党美化の重大な誤りをするどく指摘しました。
 わが党は、「国際シンポジウム」の成果、到達点を、これにつづいて七月に日本ではじめてひかれた世界平和評議会の軍縮委員会および原水禁一九八七年世界大会に反映させ、生かすべく努力しました。原水爆禁止世界大会の成功についてはくわしくのべるまでもなく、今日の情勢にこたえるにふさわしい大きな成功をおさめました。とくに、「国際会議宣言」が好核勢力を包囲、孤立させ「力関係を根本的に転換しなければならない」とよびかけ、「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名の共同行動をふくむ具体的行動計画を明確に提起したことに注目したいと思います。

(2)国会での好核中曽根内閣追及

 国会でもわが党は、臨時国会の衆参両院本会議の代表質問、予算委員会の質問で、ベネチア・サミットにおいて核兵器大幅削減、廃絶への世界の大勢にさからって「核抑止力」論を積極的に主張し、レーガン米大統領にアラスカへの中距離核ミサイル百発配備を提案した中曽根首相と、核兵器廃絶を敵視する自民党の本音を露呈した自民党のパンフレットを徹底的に追及し、中曽根首相のいう「究極廃絶」論を論破してたたかいました。「赤旗」で報道されているこれら国会論戦の論点は、いずれも重要なものであります。
 十月の国連軍縮週間にむけて、世界の反核運動が進展することが予想されますが、われわれは、この間の理論的、実践的到達点を意識的にひろめること、および反核平和運動を年に一度の行事にとどめず、日常的な”草の根〟からの運動にする努力をいっそうつよめることがきわめて大切となっております。

二、政局、国会闘争

 通常国会終了後の政局は、七中総決議が、一部マスコミのいうような「中曽根内閣末期症状」論をとらず、中曽根首相が、まきかえしをはかろうとしていると指摘し、「こんごの政局がどのように展開しようと、政府・自民党が、社会、公明、民社をだきこみ、国民に重大な攻撃をくわえる危険な事態が進行していることである」と分析したことの正しさを実証しています。
 とくに、いっせい地方選挙で国民の審判をうけ廃案になった公約違反のマル優廃止をめぐる動きがその端的なあらわれです。もともと廃案となったマル優廃止が息を吹きかえしたのは、中曽根内閣、自民党が全面敗北を避けるためにもちだした議長あっせん案に社公民諸党がとりこまれ、日本共産党を排除して税制改革協議会なるものをつくり、国民には非公開の密室で自社公民による論議をつづけてきたからであります。今日の事態は、税制協についてのわが党の指摘と衆議院議長あっせんをうけいれなかったわが党の正しさを証明しております。社公民は、臨時国会でマル優廃止に反対しているかのようにみせかけながら、実際には審議日程に同調し、公約違反のマル優廃止成立に道をひらきました。
中曽根内閣、自民党は、まずマル優廃止を成立させ、ついで、税制協議長あっせんにもとづく「直間比率見直し」協議をおこない、大型間接税導入を実現しようとしております。
 さらに、国会では、東芝・ココム事件を口実としたアメリカの圧力による外為法改悪案をはじめ、公害健康被害補償法、労働基準法、国立病院統廃合法、大学審議会設置法、警察拘禁二法、防衛二法などの悪法がめじろ押しですが、社公民は、表向きは反対しながら、共産党排除の自社公民の国会運営で各委員会での短時間審議・成立の日程に同調しており、諸悪法が、どんどん成立させられつつあります。「翼賛国会」化はいちだんと露骨になっています。事態は重大であります。この事態をひろく訴え、売上税導入・マル優廃止法案をいったん廃案に追いこんだ国民の力を結集しなければなりません。

三、盗聴問題

 これは、大きな政治・社会問題となり、国会でも、中曽根首相が、警察官の不法な盗聴行為自体は認めざるをえなくなりました。とくに注目すべきは、検察当局の決定でさえ、二人の現職警官を有罪と認め、これら実行犯は上司の命令で動いたものとして、この電話盗聴が警備公安警察による組織的犯行である事実を認めたことであり、警察も一連の人事異動等が盗聴事件がらみの「人心一新」だなどと言明せざるをえなかったのであります。
 それにもかかわらず、八月四日、検察当局が、神奈川県警の現職警官二人を起訴猶予とし、他のものたちを不起訴とする処分を決定したことは、検察当局が、結局は、同じ反動的国家権力の一部として、まったく不公正に、警察と決定的になれあったものであり、不当な処分です。広範な世論も、さまざまな形で、たんに共産党だけの問題ではなく国民一般の人権と民主主義への危険としてこの処分の不当さを非難しています。
 緒方同志とわが党は、権力犯罪の全容究明と責任追及のために、すでに八月十日に付審判請求をしたように、可能な法的手段をつくし、また、民主団体や有識者と協力して広範な世論を喚起するために努力し、国会内でもあらゆる手段で検察と警察の責任を追及し、さらに、上田副委員長・参議院議員宅の電話盗聴事件の捜査等も当局につよく要求していくものであります。

四、労働戦線の動きと統一労組懇の決定的役割

 今日の情勢の大きな特徴の一つは、「産業報国会」の今日版である労働戦線の右翼再編が政治戦線における翼賛化と相乗して進行していることです。
 「赤旗」でも批判キャンペーンをやっておりますように、八月十二日から十三日にかけて軽井沢平井労働大臣はじめ政府閣僚、斎藤英四郎経団連会長など財界代表、そして自民党の中山正暉国民運動本部長、さらには社会、公明、民社、社民連のそうそうたる顔ぶれがならび、労働組合の幹一部も顔をそろえてのゴルフコンペは、いま戦後日本の労働運動と政治戦線がきわめて危険な段階にまで到達している実態を絵にかいたようにしめすできごとでした。
 労戦統一問題は、いよいよ、新しい重要な段階にはいっております。この十一月、反共主義と体制擁護路線にもとづく全日本民間労働組合連合会(略称「連合」)が結成されます。その前日、同一盟は解散することをきめており、総評も七月の定期大会で一九九〇年までに県評をもふくめて解体する方向を決定しました。「連合」は、同盟の“変身”した組織であり、同盟が総評や中立労連さん下の民間労組を抱えこんだ形で発足するものであり、総評の解体は、同盟の解散―「連合」へこの“吸収合併〟以外のなにものでもありません。
 今日、日本の労働運動がかつてになってきた積極的伝統をふくめ、日本の労働運動の積極的、戦闘的伝統を継承し、発展させることができるのは、統一労組をはじめとする階級的潮流以外にはありません。ここに、今日の労働組合運動の最大の特徴があります。統一労組懇が、七月末の年次総会で決定し、労働者の立場でたたかう労働組合にひろく討議をよびかけた「階級的ナショナルセンター確立の展望と骨格」は、きわめて重要な意義をもっていることを強調したいと思います。
 もちろんわが党はこの間に原水禁世界大会や日本母親大会など、情勢が提起する各分野、諸課題にたいする大衆活動にたいしても必要な手を打って多様な対応をおこない、新たな転機を画するような成果をおさめ、他党にないリーダーシップをとってまいりました。その一つひとつにふれませんが、わが党はこの間にも国民大衆のなかで積極的な役割を果たし党の影響をひろめてきたことを報告しておきます。

(二)第十八回党大会までに最高時を突破する「党勢(党員機関紙)拡大全党運動」の成功のために

一、「機関紙拡大月間」の取り組みについて

 以上のべましたような内外情勢の発展のもと、党は国民の切実な要求と期待にこたえた積極的な活動を展開するとともに、そのなかで、ますます重要性、緊急性をもつ党勢拡大の課題の達成のために、第十七回党大会水準から後退していた四十万の読者の回復、ひきつづく最高時の読者数の突破をめざす「党創立六十五周年記念・機関紙拡大月間」にとりくんでまいりました。全党の力を集中した「月間」の奮闘によって、日刊紙、日曜版ともいったんは全国目標を達成する前進をかちとることができました。しかし、八月一日の大量減紙によって日曜版は目標達成にはいたらず、全体として「月間目標を達成することはできませんでした。
 七月二十八日にひらかれた拡大幹部会は、八月一日の申請で「月間」の成否がきまることをあきらかにして目標の完全達成のために総力をあげる決意をかためるとともに、「月間」の教訓にたって、第十八回党大会までに、党員拡大で名実ともに五十万をこえること、すでに提起されてきた機関紙の最高時水準を突破することを最重点の中心課題として、八月から十一月末までのあいだ、「党勢拡大全党運動」を設定することを決定いたしました。

二、「党勢拡大全党運動」の重要な意義と内容

 「党勢拡大全党運動」の重要な意義と内容については八月一日の常任幹部会の「よびかけ」、および九日付「赤旗」の推進委員会責任者の談話などであきらかにしておりますから、その内容をくりかえすことはしませんが、なぜ「機関紙拡大月間」につづいて「党勢拡大全党運動」にとりくむのかという課題については、このさい根源にたちかえってあきらかにしなければなりません。それは端的にいって党建設の分野が、他の分野にくらべて大きくたちおくれたままになっているからであります。
 わが党は、政治的、経済的、思想的闘争においては、国内はもとより、国際的にも先駆的なたたかいをおこなっております。それは、はじめにのべたように七中総後の内外情勢の進展や、そのなかで果たしてきた党の役割からみても、あきらかであります。しかし、党建設の分野では、おくれているのです。それは、党大会のたびごとにくりかえしその克服が強調され、決定されてきた課題であります。
 いうまでもなく党建設の命題は、党綱領が「民族民主統一戦線の発展において、決定的に重要な条件は、わが党を拡大強化し、その政治的指導力をつとめ、強大な大衆的前衛党を建設することである」とのべているように、まさに、日本革命にとって「決定的に重要な条件」であり、「政治革新の展望が、その推進力であるわが党の拡大強化の速度に大きくかかっている」と第十五回党大会決議でものべておりますようにそういう性格の命題であることを、あらためて、つかみとる必要があります。それは、とくに今日、戦後第二の反動攻勢が熾烈に展開されているもとで、これを打破し、情勢を革新的にきりひらいていく最大の保障が、量、質ともに強大な日本共産党の建設にあることを銘記し、革命的気概をもやし、たじろぐことなく真正面からとりくまなければならない課題であります。
 しかし、党員拡大についていえば、一九七七年の第十四回党大会で「五十万の党」の実現という方針を決定していらい、十年間経過しておりますが、現状は、第十七回党大会時点からも後退をしています。機関紙拡大についても、「月間」での一定の前進をかちとったとはいえ、全党的には、第十七回党大会水準さえ突破しておらず、第十二回党大会いらい、くりかえし決定してきた「四百万の読者」どころか、最高水準の突破のためにもまだ三十数万の拡大が必要という状態であります。
 三ヶ月後に第十八回党大会を迎えるにあたって、第七回党大会いらいの党勢拡大における戦闘的伝統にたち、名実ともに五十万の党機関紙の最高時水準の突破という課題は、どんなことがあってもやりとげなければならない最小限の課題であり、当然の全党的な中心任務であります。それは、戦後第二の反動攻勢を打破し、わが国の革新的未来をきりひらいていくうえでの、光栄ある歴史的任務であります。「「月間」が終わったから」とか、「党員と機関紙の両方はむりだ」などの消極的な意見が生まれる余地は全然ないわけであります。
 「党建設の分野が他の分野にくらべて大きくたちおくれている」―このことのもつ意味をすべての党組織、党員が真正面から自覚的にとらえ、党中央を先頭に、いっさいの惰性をうちやぶって「党勢拡大全党運動」に勇躍してたちむかい、第十八回党大会までに五十万をこえる党員と機関紙の最高時をなんとしても突破するために、文字どおりの「全党運動」に総決起し、この歴史的壮挙をなしとげなければなりません。
 各級機関がこのような重大な意義をもつ目標達成への不退転の決意と体制を確立し、わが党の先駆的な政治的力量を発揮して戦闘的にとりくむならば、党員も機関紙も、かならず目標を達成することは十分にできます。なぜなら、今日の情勢は、日本共産党の先進性が、反核・平和の面でも、国内政治の面でも、あらゆる分野でもっともひろい国民大衆のあいだにわかりやすく、また鮮明になっているからであります。したがって、いまこそ党が確信をもってうってでるときであります。もちろん、そのためにも、八月一日の常任幹部会のよびかけにもとづく全支部での討議と意思統一、目標と達成期日を明確にした計画と段どりの具体化が重要なことはいうまでもありません。
 しかし、二十三日現在、「よびかけ」の支部での討議は、全党的に四〇・四軒にとどまっており、こうした状況を抜本的に克服する必要があります。全支部が足をふみだし、くりかえし常任幹部会のよびかけを討議、具体化することによって、全党員が一人のこらず、「全党運動」に参加するようにしなければなりません。
 この場合、各種の日和見主義や消極的意見にたいする原則的な思想闘争の重大性は、「月間」での重要な教訓でありますが、「全党運動」のなかでも、しっかりと根本にすえなければなりません。また、この運動は、党員拡大、機関紙拡大をそれぞれ独自に追求することが重要であり、こうしてこそ二つの課題の相乗的な前進もはかることができます。
こうした立場から、以下、党員拡大、機関紙拡大について、それぞれ提起をいたします。

三、党員の拡大と活性化の課題

名実ともに五十万をこえるために

 ①党員拡大は、機関紙拡大とともに党建設、党勢拡大の根幹であり、情勢の発展からいっても、党自身にとっても切実な課題であります。あらゆる分野のたたかいのなかに、党員が大衆と結びついて存在するということは、社会発展の決定的条件であります。各分野の大衆運動、とりわけ労働戦線の右翼的再編に抗して前進できる階級的ナショナルセンターの確立をはかっていく力を労働者のなかにきずくためにも、また、「月間」でふえた機関紙読者をきちんと維持していくとともに、最高の党勢のもとでも読者との結びつきをつよめる配達、集金の安定した体制をつくるなど、機関紙活動のさしせまった問題からみても、党員拡大はきわめて緊急、切実な問題といわなければなりません。
 現に、このような諸条件を反映して、「党勢拡大全党運動」についての常任幹部会のよびかけは、各級機関で積極的にうけとめられ、党員拡大にたいする新たな意欲がたかまっているのが特徴であります。北海道や京都のJRの党支部では、分割・民営化のなかで党勢が後退しましたが、それをかならずとりかえして労働者に責任を負える党建設をすすめようと、意気たかいとりくみをすすめているのはその端的な例であります。このような支部は、全国各地に少なからず生まれております。
 ②各都道府県・地区委員会の目標は、県合計が六万七千余、地区合計で七万二千余など、全党的に名実ともに五十万の党を突破していくうえで必要な五万の目標を上まわるものになっております。したがって、県も地区もみずからたてた目標に真に責任を負い、その遂行に全力をあげる必要があります。
 同時に、ここで重視しなければならないのは、達成期日の問題であります。「よびかけ」は「第十八回党大会を文字どおり党史上最高の党勢突破で迎える」というように、五十万以上の党勢をもって大会を迎えることを明確にしております。これは一般的には第十八回党大会までという期間です。したがって、十一月末までということはおそすぎます。党員の拡大をできるだけはやめて、真に第十八回党大会が五十万をこえる党員の隊列を反映した代議員の構成でひらくことは、おおいにのぞましいことであります。予定されている第十八回党大会代議員の選出基礎を確定する期日までに、五十万以上の党を全党的に実現することを要望するものであります。
 そういう点で、実質的にはこれからの二ヶ月間で、それぞれの都道府県党組織がかかげている目標を本気で確実にやりきるようあらためて強調するものであります。
 ③党員拡大の可能性や条件が大きくひろがっていることは、この間の情勢の発展や各地での実際の経験がしめしております。自民党と反共野党による政治の翼賛化への道がすすむなかで“国民の希望の星〟としてのわが党にたいする国民の期待、関心はかつてなくたかまっています。しも、さきのいっせい地方選挙などで、党とともにたたかってきた後援会員や支持者の少なくない存在など、入党対象者は、支部のまわりにたくさんいます。ここに目をむけ、しっかり確信をもつことが大切であります。
 ④党員拡大を全党運動にふさわしいとりくみにしていくためには、支部を基礎にした活動を展開することが重要です。とくに、三万のすべての支部で新入党者を迎えるようにすることが重要であります。この基本姿勢を堅持していくことは、目標の達成にとって必要であるだけでなく、支部の活性化にとっても大事なことであります。この点で、「党支部の活動の停滞しているところでこそこの課題へのいっそう真剣なとりくみがはかられなければならない」という「よびかけ」の見地を確固としてつらぬくことが重要であります。同時に、支部への目標の提起が一支部あたり一人とか二人とかの機械的、一律的な数の提起でなく、それぞれの支部がおかれている条件や果たすべき政治的組織的役割などをふまえて積極的な目標をもつようにする必要があります。
 同時に県・地区機関の積極的イニシアチブの発揮が非常に重要であります。それは、これまでの全党的な経験、教訓からもあきらかです。支部単位の「党を知る会」や「入党懇談会」とともに、県・地区機関が支部と一体となって、県・地区規模での「党を知る会」などを目標達成にふさわしい規模と回数でひらくことが重要であります。
 また、県・地区機関がおおいに指導性を発揮して各戦線、各分野の「党を知る会」を関連の党組織と連携してすすめることも必要で、そのため県・地区機関がただちにその計画、段どりを具体化し、実行することが重要です。とくに党は、多くの青年を党に迎え、また民青同盟の活動と体制を強化するためにも民青同盟内での党員拡大を重視し、党機関がイニシアチブを発揮し、直接、至急に民青同盟にでかけて「党を知る会」をひらくことをはじめ、民青同盟の党グループの活動を積極的に指導して、同盟内の党員を倍加する必要があります。
 ⑤党員拡大のうえで大事なことは、入党前の教育を重視するとともに、入党後の教育をしっかりおこなうことであります。そのさい、党中央が作成した入党のよびかけ「日本の現在と未来のために――あなたの入党を心からよびかけます」、および青年への入党のよびかけ「歴史にはたらきかけ歴史をつくる人間に青年のみなさんへ日本共産党へ入党を心からよびかけます」、これを積極的に活用することが重要であります。この入党のよびかけは、わが党の科学的社会主義についての確固とした見地と展望をあきらかにしたものであり、入党の働きかけの大きな力になるものです。党中央は、この二つのよびかけをパンフレットにして活用するとともに、党員拡大をさらにひろく大きな運動にしていくために、「手紙」形式で大量に作成しました。このよびかけを党員自身が深くつかんで確信をつよめ、党員拡大の武器にしていくことが必要であります。
 入党した党員には、すみやかに入党手続きや新入党者教育、「入党歓迎会」をおこなうことも重要です。この間の除籍・離党の教訓からも、教育の実施にあたっては、新入党者教育にとどめず基本課程教育まで期限内にきちんとおこなうことが、とくに大切であります。

活性化の個別課題のとりくみについて

 党の活性化にとって、新入党者を迎えることは大きな力となるものであるということに確信をもってとりくむことが大切であります。したがって活性化の個別課題の追求も、党員拡大と一体のものとしてとりくむ必要があります。そのためにも、新版『支部活動の手引き』や支部活動の十ヶ条を指針にして支部活動をつとめることが重要です。
 ①週一回の支部会議の定例化は、「党勢拡大全党運動」の成功のためにも、新しく迎えた入党者の成長のためにも重要であります。そして、この支部会議においては、つねに全党員が参加できるよう、特別の努力をはらっていくことが重視されなければなりません。
 ②健全な機関財政の確立のためにも、全党員結集のバロメーターとして、党費納入を「党勢拡「大全党運動」のなかでこそ正しく位置づけることが必要であります。そして、独自の体制を確立し、意識的で積極的な追求を強化していくことが大切です。
 ③支部の分割・再編を完了し、支部指導部の確立をはじめ、新入党者を迎えることを機会に党籍・党員カードを完備するなど、一連の組織的課題の遂行にねばりづよい努力をはらっていくことは、第十七回党大会決定の全面的実践に責任を負っていくうえで、ひきつづき重視すべき課題であります。

組織部を強化し、独自追求の体制の確立を

 党員拡大と活性化の課題を独自に追求できる組織部をしっかり確立しなければなりません。それは、今回の「党勢拡大全党運動」が、党員拡大と機関紙拡大の二つを中心課題とし、重点とする運動であり、しかもこの「全党運動」の成否が、支部を基礎にした党活動をつくりあげるかどうかにもかかっているからです。地区委員会のなかには、地区委員長が組織部長を兼務しているところや、組織部長がいくつもの任務を兼務しているところが少なくありません。
 東京都党組織の各地区委員会では、四人から十二人の組織部の体制をつくり、党員拡大の系統的、計画的追求の担当者をはじめ、十二条該当〟党員克服担当者(党費未納者もふくむ)、未掌握党員担当者(日刊紙未購読党員克服もふくむ)、支部分割・再編担当者など、非常勤の幹部や活動家の力も結集して、独自追求できる担当者の配置がされております。そして、この担当者会議を定例化し、ここで具体化することを系統的におこなっております。
 この経験にも学び、「全党運動」のなかでも、このような組織部の確立がきわめて重要であります。

四、過去最高の峰をめざす機関紙拡大

党中央から惰性の打破を

 機関紙の最高水準突破は、すでにのべましたように、これは、第十八回党大会を新しい峰で迎える最小限の目標です。全党的には「月間」目標を達成していない以上、全党組織による事実上の「月間」目標達成はもちろん、最高時突破の早期達成のために全力をあげなければなりません。
 とくに、重視しなければならないことは、八月一日の申請で八万二千部にのぼる大量減紙をだし、いったん達成した日曜版の全国目標からも後退したこと、県・地区党組織のなかでも、一度目標を達成した陣地から後退した党組織が少なからず生まれたことであります。全体として、機関紙読者数で大会水準を達成しなかったことは、「月間」の到達点で小成に安んじるどころか、ひきつづく不屈の前進こそがもとめられていることをしめしているのであります。「党勢拡大全党運動」の最初の月、この八月には、全党的に十万以上の読者拡大をめざすことがすでに提起されておりますが、党中央は、八月一日の大量減紙や今月末の減紙の状況を考慮するならば、八月に実質十万以上の読者拡大のためには、二十万の読者拡大が必要であることを全党によびかけました。
 この問題では、冒頭発言でものべられましたように当初、党中央の担当部局である機関紙誌局のなかに、八月一日の減紙の数や大会水準からの後退数などをリアルに全党にしめさず、減紙の状況を考慮にいれた拡大数を提起することをためらう消極的な傾向があったことを指摘しなければなりません。これは、「月間」目標を完全に達成できなかったにもかかわらず、成果の面を強調しようという旧来の惰性から脱却できない重大な誤りであり、深い自己検討にたって全党がたちあがるうえで、中央自身に弱点があったことをしめすものであります。
 この誤りは、ただちに正されました。しかし、その根底にあったものは、なんとしても最高の峰を突破するために、全党が八月になにをしなければならないかを追求する点に弱さがあったといわなければなりません。最高の峰突破への決意が真に強固であれば、荷の重さは、ありのままに語られなければならず、そうしてこそ、全党が八月になにをなさなければならないかの内容もリアルにわかり、なにをなすべきかの展望と勇気も生まれるのであり、これは一部門のこととしてではなこんごの重要な教訓にする必要があります。
 これまで、機関紙活動のなかで、「へらさず前進」「減紙をなくす六カ条」など、減紙対策を重視したとりくみが強調されてきました。もちろん、減紙対策の重要性は当然でありますが、この点でも、「へらさず前進」が中心になると受動的、消極的な感をまぬかれません。問題は、月末の減紙をのりこえて大きく前進することがもとめられているのであり、おう盛な機関紙拡大こそ、最大の減紙対策の攻勢的防御であることを明確にすることであります。その意味では、「へらさず前進」ではなく、「前進をつづけべらさない」ことを基本的方向にすべきであることを提起します。この点、七中での幹部会報告での提起を新しく発展させる必要があります。
 八月に、実質十万以上をふやすために二十万の拡大が必要だという提起は、以上の立場からのものであります。全党組織がこうした攻勢的な姿勢を堅持して、八月の目標をやりとげるとともに、こんごの機関紙活動の基本にしていかなければなりません。
そのためにも、八月のはじめから減紙をとりもどして前進することを重視してまいりましたが、今月前半の機関紙拡大のとりくみは、「月間」後の一服状態や夏休みなどもあって微々たる成果にとどまりました。機関紙拡大の指導を事実上中断した党機関もありました。各級機関もその根底にあったものを、八月という事情のみに解消せず自己分析することがのぞまれます。
 いま、十八日から月末までの「集中拡大週間」にとりくんでおりますが、現状は、実質十万以上の読者拡大をなんとしてもやりとげるにふさわしい規模と速度にはなっていません。八月もあと一週間ありません。減紙をのりこえて、かならず十万以上の増紙で九月を迎えるために、すべての党組織が、「月間」の最終盤を上まわる力を集中した戦闘的とりくみが必要です。八月の残された一日一日、活動の規模をひろげ、速度をはやめ八月目標をかならずやりとげ、意気たかく九月を迎えなければなりません。こうしてこそ、この八月に「党勢拡大全党運動」成功の強力な土台をきずくことができます。
 九月以降の機関紙拡大の方向については、月はじめから前進することを基本に、毎月一定の集中期間などを設けてすすめることを提起しておりますが、九月、十月は、八月の状況をみて最終的にきめたいと思います。いずれにしても月はじめからがんばり、先駆的な党組織では九月、おそくとも十月には目標を達成するよう全力をつくします。十一月は、党大会の月でありますが、九、十月の到達をみて別途検討します。どんなにおそくともすべての党組織が大会までに目標の完全達成をやりとげなければなりません。そのさい、毎月の目標、計画は、「前進をつづけへらさない」見地にたって、毎月一日の申請減紙や月末の減紙を考えて、それをのりこえる積極的な目標をたてて挑戦しなければならないことはいうまでもありません。

読者との結びつき強化を

 「赤旗」の紙面を、平和・革新の共同の機関紙として、また、大衆的政治新聞として、いっそう親しみやすい内容に改善することは、読者との結びつきの基本前提としてひきつづき重視しなければなりません。
 決定的に重要な問題として、いままでの読者との弱い日常的な結びつきを政治的組織的に強化す全党的な努力が急務となっております。このため、党中央は、第十六回党大会で機関紙活動の五原則に「日常不断に読者との結びつきをつとめること」をくわえて六原則にした意義、および第十一回党大会二中稔(一九七〇年十月)での決定にもとづく「読者にたいする六つの心得」を「赤旗」に再録しました。「六つの心得」にもとづいて読者との日常的な結びつきを、政治的にも人間的にも系統的に強化することを、あらためて強調するものであります。
 そのための武器として、党中央は、全読者への「「赤旗」ご購読のお礼とお願い」、新しく購読することになった読者への手紙「「赤旗」を新しく購読されたみなさんへ」を作成し、県、地区に届けてあります。
 「手紙」の内容は、「赤旗」の歴史や今日の情勢のもとで果たしている「赤旗」の先駆的役割、紙面の魅力などについてわかりやすくのべたものです。この「手紙」は、八月にふえた読者、これからふえる読者はもとより、「月間」中に新しくふえた読者にもれなく届け、読者との結びつきの強化、短期の読者もふくめて「赤旗」を長期に購読するよう働きかけ、読者会の開催等もふくめて積極的に活用する必要があります。
 もちろん、月末の大量減紙がくりかえし生まれている根底には、以上のほかに定着活動の不正確さや配達・集金活動の乱れなどが、重要な要因になっております。読者にたいする初歩的な義務である配達・集金活動に万全を期すことは当然であり、急速にふえる読者への敏速で安定した配達、集金を保障するためにも、配達・集金者を大きくふやしていかなければなりませんし、それによって、議員や機関幹部、活動家の過重負担を解消するために努力をつとめる必要があります。

議員など力のある党員が支部とともに奮闘を

 「月間」のなかで、各級議員・予定候補者の奮闘は、全党のけん引車として大きな役割を果たしました。
 五月十六日から七月三十一日までの「月間」二ヵ月半の地方議員の機関紙拡大の成果は、一人あたり八十五・七部であります。このうち、県議・政令市議は、一人あたり二百四十七部、一般市(区)議は百十八部、町村議は三十三部という結果でありました。
これらの諸同志の英雄主義的奮闘をたかく評価するとともに、「党勢拡大全党運動」のなかでも、ひきつづき先進的な役割を発揮されることを期待します。そのさい、議員が空白をふくめ未開拓の分野にきりこんでいく活動とともに、支部が目標を達成することと結びつけて議員の行動計画を具体化して奮闘することが大切であります。
 地方議員はもとより、各級議員予定候補者、力のある党員の奮闘も、めざましいものがあり、これらは、機関紙拡大、パンフレット普及全国上位十氏の諸同志の成果にも反映されております。ことしの一月一日を起点とした今年度上半期の全国上位十氏の顕彰は、「機関紙拡大月間」との関係で一ヶ月延長し、七月三十一日でしめきりました。八月七日付「赤旗」に、顕彰確定の上位十氏を発表しました。党中央は、機関紙拡大、パンフ普及で、全国の先頭にたって活動されたこれらの諸同志に心から敬意を表し、表彰状をおくりました。ひきつづき八月一日を起点とし、今年〔一九八七年〕末をしめくくりとする今年度下半期の全国上位者の顕彰をおこないます。各級議員・予定候補者、多くの党員が「党勢拡大全党運動」の成功にむけて、全国上位者に積極的に挑戦されるようのぞむものであります。
 パンフ普及についても一言しておきます。
 「月間」のなかで、一部をのぞいてパンフ普及の目的意識的な追求は弱化しました。「月間」中に普及したパンフは、全国の総計で十一万四千七百部にとどまっています。最近、新しい宣伝パンフとして「自民党の“好核”パンフをきる』『新大型間接税への突破ローマル優廃止ゆるすな』が発行されましたが、この二つのパンフは、核兵器廃絶の運動、マル優廃止反対のたたかいを前進させるためにも、有効な武器となるもので、これまで発行された宣伝パンフとあわせて積極的な普及がつよくもとめられます。パンフ普及は、けっして党員拡大、機関紙拡大と競合するものではありません。おおいに党員拡大、機関紙拡大をたすけるものです。行動するさい、かならず「赤旗」とパシフをもって、すぐ「赤旗」を購読しない人にも、パンフをすすめていくことが重要です。また、独自にパンフを普及することも重視する必要があります。党国会議員団は、マル優廃止反対のたたかいをひろくひろげていくため、売上税反対のさい協力の申し入れをおこなった業界団体、民主団体、労働組合などを中心に、『マル優廃止ゆるすな』のパンフを活用して反対運動の協力、共同を申し入れておりますが、各級機関も、こうした創意を発揮してパンフの普及にとりくんでほしいと思います。
 このパンフ普及は、財政対策としても重要な意義をもっていることはいままでも強調したとおりであります。その点もよくつかむ必要があります。

視野をひろげ「赤旗」宣伝リーフの活用

 「党勢拡大全党運動」の目標を達成するうえで、「赤旗」の役割や紙面の魅力をおおいに宣伝し、新しい分野にむかって確信をもって購読を訴えていくことがひきつづき重要であります。
 党中央は、六月十六日から七月二十九日まで、全国四十三府県に宣伝カーを派遣し、「赤旗」宣伝の全国キャラバンを実施しましたが、このなかで、まったくはじめてのところでも読者がふえ、日刊紙、日曜版あわせて一千四百三十三人の固定読者、パンフ三百九十五部や『グラフこんにちは』読者などの拡大、普及の成果をあげてまいりました。このことは、広範な国民のなかに、「赤旗」への関心や期待がひろがっていることをしめしております。対象者がもういないという声もきかれますが、昨年の衆参同時選挙での比例代表選挙で五百四十三万人の人びとがわが党への支持を明記したことにもみられますように、機関紙拡大の可能性は大きくひろがっています。今日の情勢のもとで果たしている「赤旗」の役割、紙面の魅力をおおいに語って、党の周辺や元読者だけでなく、幅ひろい人びとのなかに「赤旗」を普及、拡大していくことが重要であります。
 党中央は、「月間」中の成果をふまえ、「党勢拡大全党運動」のなかでも、ひきつづき全国キャラバンを実施します。この全国キャラバンでは、こんどの「党勢拡大全党運動」に応じて、今日の情勢下での日本共産党の役割を知らせ、「赤旗」の役割、魅力もおおいに訴えて、党員拡大、機関紙拡大の前進の力にしていくことが重要であります。
この点で、「赤旗」宣伝リーフの活用を重視しなければなりません。党中央は、一千万部の宣伝リーフをおろしていますが、この活用については、「月間」中あまりすすんでいません。活用状況について、機関が掌握していないところが少なくありません。簡潔に「赤旗」の役割や魅力をしめした宣伝リーフを、すべての党員はもとより、後援会員、読者にも届け、また川本方式などとも結合して「党勢拡大全党運動」の力にしていくようにしなければなりません。

五、中間地方選挙

 つぎに、中間地方議員選挙の問題について報告します。
 わが党は、七中総以後、二十市百五町村で中間地方議員選挙をたたかいました。このなかで、一市十二町村で空白を克服する前進をかちとっていますが、一方、十六人の現職議員を落選させ、二市十二町で新たな空白をつくるという、七中総決定に反する失敗が生まれていることを重視しなくてはなりません。とくに、これらの失敗が、全党が力を集中した「月間」の後半に生まれているだけに、「党勢拡大全党運動」をとりくむうえで、その問題点をあきらかにしておく必要があります。第一に、「全党運動」と、そのなかでたたかわれる中間地方議員選挙との関係の問題であります。
 七月三日の拡大幹部会でもあらためて強調しましたが、全党の活動の重点がどこにおかれているときであっても、選挙がたたかわれる地域では、選挙戦が重点であります。必要な力の集中をはかり、直面する党派間闘争でかならず勝利をかちとるために力をつくすことは、党の一貫した方針であります。「月間」中の失敗も、さまざまな反共攻撃、反共シフトなど、第二の反動攻勢下の選挙の様相を正確にとらえず、情勢をあまくみて、局面を打開するために必要な力の集中をためらい、手だてをつくさずに敗北している場合が少なくありません。こうした失敗は、住民の党への期待を裏切り、党の役割を低めるだけでなく、党勢拡大運動の成果自体を傷つける結果となることは明瞭であります。
 「全党運動」の期間内には、全国的に約二百の市町村で中間地方議員選挙がたたかわれますが、中間選挙がもっとも集中する時期に属しています。
 県、地区の指導部は、「全党運動」のなかでの中間選挙を正しく位置づけ、その一つひとつを重視して、確実に勝利しなければなりません。そのために、早くから、七中総決定の情勢判断の四つの基準にもとづいて、選挙情勢を正確にとらえ、力の集中をはじめ、勝つために必要な手だてをつく化すことが重要であります。
 第二に、選挙準備のおくれを克服する問題です。
 七中総決定では、選挙闘争での二重のわい小化選挙とは支持拡大だというわい小化と、選挙間近になってやっと本気になるというわい小化が、わが党の重大な弱点であることをきびしく指摘しました。しかし、その後の中間選挙へのとりくみをみても、告示間近にならないと、本気にならないという傾向が多くの党機関や党組織に残されています。候補者決定がずるずるとのび、ああるいはとりくみがおくれて他党派に攻めこまれ、落選したり、苦戦を余儀なくされる例がいぜんとしてあとをたちません。
 候補者の決定をはじめ、政策の準備、宣伝物の作成、住民の切実な要求実現の活動、全有権者を対象とした宣伝など効果的な候補者活動、支持拡大のための基礎的支持者名簿をはじめ、各種の名簿や結びつきカードの整備と活用などに、早くからとりくむよう指導を徹底することが重要であります。おくれが明白な場合には、早くからオルグの派遣とか力の集中をはかって打開しなければなりません。
 第三に、空白克服の問題についてであります。
 七中総以降、空白自治体の一市五十二町村で議員選挙がたたかわれましたが、そのうち、一市十五町村で立候補し、一市十二町村で空白を克服しました。しかし、空白議会への立候補率は三〇であり、その町村で支部がありながら選挙を見送ったところが三十七町村中、十九町村、五割にものぼっていることは重大であります。
 こうしたところは、選挙直前になってあわてて対策をたてたが間に合わず、結局、時間切れになったところが少なくなく、全体として、機関の構えと努力はきわめて不徹底であります。こんごの一年間に中間選挙がおこなわれる空白自治体七市二百二十六町村のうち、中央への候補者申請がすんでいるのは三市二十八町村にすぎません。新潟など十五県は候補者申請はゼロです。空白自治体をもつ県・地区機関と党組織は、七中総決定があきらかにしたとおり、空白克服が綱領実現の不可欠の課題であり、住民にたいする党の重大な責任であることを自覚し、開拓者精神を発揮して一つひとつの空白克服に計画的な努力をつくすことを、かさねて強調するものであります。
 さきのいっせい地方選挙では、党中央は、選挙での党躍進とともに、空白克服への援助をあわせた募金を訴え、全国から七百万円近い募金が寄せられ、これは、空白克服に挑戦した候補者と党組織への援助の一部にもあてられました。前回の募金の「訴え」が不徹底だった教訓にかんがみ、こんご、ひきつづき、空白克服の事業を推進し、財政面から空白克服を見送ることがないようにするために、いっせい地方選挙での募金の趣旨をひきつぎ、空白克服の援助のための恒常的募金を精力的にひろくすすめる必要があります。
 党中央は、この間、七中総決定にもとづき、議員報酬の少ない地方議員への援助措置、地方議員の報酬基準の改定を実施しました。これは全国的に歓迎されていますが、党機関は地方議員の同志が今回の措置の趣旨をよく理解し、住民奉仕の活動でも党建設の面でも、いっそう奮闘するよう指導を徹底してもらいたいと思います。また七中総で提起した農村宣伝組織者、団地宣伝組織者の見直し”については、原則として地方議員の同志にきりかえることになりましたが、関係地域の議員が積極的にこの任務にとりくむことをのぞみます。さらに、関係の県・地区機関にはこれらの議員をふくめて「団地・マンション対策委員会」をかならず設け、対策を強化しなければなりません。

六、赤旗まつりについて

 最後に、赤旗まつりについて報告をします。
 ことしの赤旗まつりは、党創立六十五周年記念の重要なもので、内容も、政治的にも文化的にも充実したプログラムが準備をされています。この赤旗まつりは「党勢拡大全党運動」の重要な一環であり、党中央と各級機関のとりくみのため、常任幹部会にも対策強化委員会を設置しました。しかし、前売り参加券の普及が決定的にたちおくれており、このままでは大失敗におわる危険があります。
 私、その対策委員会の責任者ですから、ちょっとアドリブになりますが、みなさんのところにきょうはこの参加券を渡しました。いっていますか。見たことがない”という人がだいぶあるんです。いきたい人で見たことない人がたくさんいるんですね。この東京都委員会のニュースを見ますと、百草団地で街頭宣伝をおこないました。その宣伝カーにブーニンの写真入りの赤旗まつりのポスター張ってあるんです。そのポスターを見た若い婦人が宣伝カーに近より、「本当に赤旗まつりにブーニンがくるのですか」と、こう質問しているんですね。それで「抽選で演奏会にいけるのなら前売り券をほしい」といってさっそく二枚買った。こういう話があるんです。とにかく知らない人が多いんです。
 券の普及は、二十三日現在、関東近県の一都九県の集約でわずか八千五百枚でしかありません。ブーニンのピアノリサイタルの抽選申し込みも二千人余です。
 最大の問題は、赤旗まつりの成功が各級機関、支部の重要任務として自覚されておらずとりくまれていないことです。「十月まではまだ間がある」「金券だから行方不明になると困る」などというこことで前売り参加券が支部、党員に届けられていないことであります。
 今日、赤旗まつり成功のカギは参加券の普及です。各級機関は、ことしの赤旗まつり成功の重大な意義を全党に徹底し、参加券をただちに党員一人ひとり、さらに後援会員に届け、「全党運動」の成功と結びつけ、広範な人びとに普及する行動を組織するよう、全党の努力をよびかけるものであります。
 最後に、第八回中央委員会総会が、党大会をめざす党員、機関紙の最高水準突破の「党勢拡大全党運動」成功のために総力をあげる決意をしっかりかため、意気たかく前進する新たな転機となるよう全力をあげようではありませんか。
(「赤旗」一九八七年八月二十八日)

© 日本を本国とするこの著作物は、政治上の演説等であるため、著作権法第40条の規定により自由な利用が認められています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

four + 4 =