「科学的社会主義」って何?「科学的」ってどういうこと?ざっくり解説

カール・マルクス

運動用語のざっくり解説

科学的社会主義って何?

「科学的社会主義」って何?

「科学的社会主義」を端的に定義すると次のようになります。

「史的唯物論と剰余価値学説を土台にした社会主義思想・理論」

史的唯物論とは、マルクスがヘーゲルなどから受け継いだ哲学を発展させた基礎づけた弁証法的唯物論を社会の見方に落とし込んだものです。

剰余価値学説とは、これもマルクスが体系化した経済理論であり、資本主義的生産の分析により、搾取と蓄積の原理や経済の法則を解明した経済学説です。マルクス経済学と言われることが一般的です。

いずれにせよマルクスがその創始者であることから、科学的社会主義はマルクス主義という言葉とほとんど同義に使われます。

「科学的」ってどうこと

学説・運動・体制の3つの見地から見ることで、科学的社会主義を全面的にとらえることできます。

この学説の歴史を見ていくと、「科学的」と謳っている意味が分かります。

マルクスより前の社会主義・共産主義の運動では、何らかの人工的な理想社会を措定して、それを建設・創設するという試みがなされました。サン・シモン、シャルル・フーリエ・ロバート・オウエンなどが代表的です。

これらの思想は、ユートピア(ここにない楽園)を描くから「ユートピア社会主義」、あるいは科学的な裏付けがないことから「空想的社会主義」と呼ばれました。マルクス=エンゲルスはこれらの理論を批判的に受け継ぎ、当時の自然科学や哲学の発展を取り入れながら、人間社会のすがたとその変動の仕方(発展法則)を明らかにしました。

ここにおいて、理想からではなく事実から出発して社会の変化の法則を見出すから「科学的」。この「科学的」手法による理論から導き出される社会主義思想だから「科学的社会主義」なのです。

「科学的社会主義」という言葉は1870年代にエンゲルスが用い始めました。ここにおいて「科学的」にはユートピアとの対比のほかに「批判的」というニュアンスがあり、また現在私たちがイメージする「科学」の「精密な自然科学的」なニュアンスよりは「法則的」というニュアンスが近いと言われています。

「理論」・「運動」・「体制」の3つの見地ってどういうこと?

科学的社会主義には学説・運動・体制の3つの見地があると言いました。学説というのは前述した社会の見方であり、マルクス=エンゲルス在世当時の哲学・経済学・社会主義の最高峰を取り入れた世界観であると特徴づけられます。

その理論の範囲は、「哲学(世界観)」「経済学」「階級闘争の学説」「未来社会論(社会主義論)」などの構成部分に細分化されます。これらの理論は、マルクス=エンゲルスの死後も各時代・各地の実情に応じてさまざまに理論を発展させていきました。

そして科学的社会主義は、理論だけでなく、それを社会の法則に則って実現しようとする点に特徴があります。これが社会に働き掛ける「運動」の側面です。

そして、その運動は科学的社会主義に立脚する国家・世界体制が実現されることが目標です。そのような社会はまだ歴史上完全には実現されていませんが、様々な理論的・実践的探究がなされています。これらが「体制」の側面です。

似たことば「科学的共産主義」とはどう違うの?

「科学的社会主義」と似たことばに「科学的共産主義」という言葉があります。日本語では主に外国文献の邦訳で見られますね。

科学的社会主義と科学的共産主義は、言葉の上では似ていますが、さす範囲が若干異なります。科学的共産主義にはマルクス以後の科学的社会主義の潮流も含まれますが、それ以外にもマルクスの同時代人のヴァイトリングやラッサ―ルなど、空想的社会主義とみなされる思想家であるけれども科学的探究をしようとしていた人々の理論も含める、より広い概念として使われる場合があります。

あるいは、科学的社会主義と同義で、ドイツ語やロシア語の文献で使われていることがあります。日本ではあまり使われることはありませんが、知識として覚えておきましょう。

赤名
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