日本リアリズム写真集団(JRP)は、1月23日(月)に2023「視点」オンライン写真講座②として『「画にならない時代」「それでも写真を撮る」 open discussion 鈴木一誌∞金瀬胖』を開催します。
写真が岐路に立っている。世界で起きるさまざまな できごとが画にならず表象不能になっている。写真で写せない。
新型コロナの感染にしても、医療現場を写しても、あるいは人通りが減った渋谷のスクランブル交差点を撮影しても、それは直接、新型コロナを捉えたことにはならない。金融や円安やドル高は写真に写せるか。その事情は、写真ばかりではない。ブックデザインもが直面している問題である。安倍元首相を銃撃した山上容疑者の心のうちは、とうてい可視化できない。心象を風景に託すか、人びとの表情を観察するかだが、風景も人びとの表情も、どう見るかは見るひとに委ねるにほかない。断定のしにくい時代である。断定をせずにどう伝えるか。
鈴木一誌 「視点」 ゲスト選考委員
「視点」 創始者のひとりの伊藤知巳さんは「画になる写真への執着」を強く批判していた。画になればなにか撮った気になるような心得が写真をダメにする、と。でも私はいつも画にしようとします。脱皮は難し い。しかし殻を破らない蛹は死ぬ。それは写真だけでなく世界がいま直面している事態ではないか、写真はどうする、と鈴木さんは問うているように思います。
SNS の時代。時代の地肌に触るような写真や言葉は、かりにメディアに登場したとしても直ぐ上書きされてしまう。画にならない時代とは記録が消される時代でもある。それを「歴史なき時代」という人もいる。私はそれでも写真を撮る。なんとかして写真の中に、風化の風に耐えるものを結晶させたいと思う。そこを話し合いたい。
金瀬胖 「視点」 選考委員・「写真リアリズム」 編集長
1月23日(月) 15:00~16:30 参加費1000円 参加希望者はJRP(jrp●jrp.gr.jp)まで