物価上昇のために「バーミンガムでは4人に1人が食事を抜いている」と、イギリスの日刊新聞『モーニング・スター』が報じています。
物価上昇が著しいイギリスでは、多くの人が十分な食事を得られていません。イギリス労働組合会議(Trades Union Congress; TUC)の調査によると、英国全土で7人に1人が食事のいずれかを抜くか、食事なしで過ごすことがあり、地域によってはこの割合が4人に1人にまで上昇することが分かりました。選挙区ごとでの集計では、バーミンガム・レディウット選挙区で割合が最も高く、ほぼ三割の人々が食事を抜いています。ロンドン市とウエストミンスター市では、5分の1以上の人々が食事を飛ばしています。また別の報告書では、子どものいる家庭の4世帯に1世帯が、過去1か月のうちに食糧難を経験していて、推定400万人の子どもが影響を受けていることが明らかになっています。これは4月以降50%以上増加し、パンデミック開始時に追跡調査を開始して以来、最も高い水準です。
教育労働組合(National Education Union)のコートニー書記長は、政府は「驚くべき速度で、多くの家庭を不安のどん底に突き落としている」「政府が抜本的な対策を取らない限り、この冬は何百万の子どもたちが飢えに苦しむだろう」と述べ、子を持つ親の金銭的負担を減らし、子どもたちに栄養ある暖かい食事を取らせるために、小学校で無料学校給食と食料配給を実施する必要性を述べました。
TUCはこれらの調査結果を受けて、飢餓防止のために物価上昇に見合った給付を行う必要性を訴えています。ユニバーサルクレジット(社会扶助制度)、給付金、年金を直ちにインフレ率に合わせて引き上げるよう要求し、また、エネルギー会社への超過利潤税(windfall tax)を引き上げ、主要労働者に生活費に見合った賃上げ、特に最低賃金を時給15ポンドに引き上げることを要求しています。
しかしながら、イギリス政府は緊縮財政の継続を掲げています。エネルギー料金への国家補助は来年4月までの半年で打ち切り、予定されていた所得税率の引き下げも停止(10/19「赤旗」)。他方『モーニング・スター』によると、労働者が「ナポレオン戦争以来の正気の賃下げを経験する」一方で、富裕層の富は大きく膨れ上がっています。同紙社説は「保守党は公共部門の『脂肪の削減』の必要性を述べるが、すでに切り詰めるべき脂肪はなく、公共サービスはすでに苦境に立たされていることは誰の眼にも明らか」だとしています。
現在英国のインフレ率は9.9%。物価高とエネルギー価格の高騰に苦しむ国民は、ストライキや大規模なデモで賃上げと家計支援を要求してきました(10/19「赤旗」)。今イギリスでは、2011年のキャメロン政権時の大ストライキを優に超える大ストライキが起こっており、この波は公共部門の労働者にも広がっています。同紙社説は「英国は賃上げを必要としている。公共サービスは、削減を深めるのではなく、元に戻す必要がある。政府は弱体化している。私たちはストライキを続ける必要がある」と締めくくっています。
参考
1 in 7 people in Britain skipping meals or going without food, TUC study findsMorning Star
参考 Only by building the strike wave can we defeat Hunt’s austerity repriseMorning Star