日本共産党第19回大会第2回中央委員会総会の討論の金子副委員長の結語(1990年)

「前進しつつ減らさない」機関紙活動の発展のために

金子副委員長の結語

「前進しつつ減らさない」をどう実践していくか――十一月必ず前進を

 二日間の討議で多くの同志が、機関紙拡大の問題に言及しました。そのすべては、積極的なものでした。そこで報告でものべましたが、再確認しておきたいことは、「前進しつつ減らさない」ということを、いまの時点でどう実践していくかという問題です。
発言のなかでもいく人かの同志が、十一月の機関紙拡大問題にふれました。とくにそのなかで、花房同志は、十一月の現状打破について、その重大性をくりかえし強調しました。十一月の機関紙拡大の現状は、まさにゆゆしい状態です。
 「前進しつつ減らさない」というのは、このままでは言葉だけになってしまう。実態は、減ったということになれば、二中総の決意と討議の内容とちがうわけです。いま問われているのは、この点です。「月間のあるなしにかかわらず、いついかなるときでも拡大」というこの立場からみて、絶対に後退は許されない、その関頭にたたされているということであります。十一月の残された期間は、あと一週間であります。全党の力を集中して、絶対に後退させない、かならず前進をかちとる――このことを強調しておきたいと思います。

うって出てこそ出番。「赤旗」の魅力、役割を全党員の確信に

 つぎは、各同志の発言で、「赤旗」の魅力、また、役割の大きさについて、実践をつうじてそれがますますあきらかになっているということを、感動的に紹介しました。
九月は「コメの自由化問題、十月は自衛隊の海外派兵法問題」という滋賀県の西田同志の発言にもあるように、たしかにコメ問題、自衛隊の問題はいたるところで大きな反応をよびおこしています。コメの輸入自由化問題を系統的にとりあげてきた「赤旗」は、各地で多くの共感をよびました。新たな層に読者がひろがり、大衆運動の発展の力にもなりました。また、イラク問題、自衛隊海外派兵問題では、どこでも敏感な反応がよせられたことも、発言のなかで紹介されました。「これほど充実した思いで活動したことはなかった」とか、あるいは、「訴えたら先方からすすんで戦争体験などが語られ、こころよく読者になってくれた」とか、こういうような発言が、相つぎました。
 たしかに、党と「赤旗」の出番の情勢であります。しかし、これはうってでたところの体験、経験であるということもまた、発言のなかではっきりさせられているところです。
 問題は、この大きな役割を果たしている「赤旗」の大きな魅力や役割が、今日、全支部、全党員の確信にまだできていないということであります。宝はあるんだけれども、それをつかえないという状態にあるということです。これは、「月間」の活動参加の支部が全国では、六六%という水準にとどまっていること、しかも、活動参加の党員は、大会をめざす「月間」のときよりも少ないということも、みなさんの発言のなかで指摘されたとおりです。しかし、そういう数字をならべているだけでは、問題の解決にはなりません。十一月からの拡大では、こういう点を本気で克服していかなければならない。このことをつよく指摘しておきたいと思います。

教育を基本にした党づくりで知力・活力・行動力を

 つぎに、各同志の発言のなかでも大事な問題として等しく強調されたことでありますが、それは教育を基本にした「前衛党らしい党づくり」の問題です。
反共の攻撃、嵐はいろいろある。沈殿している。これはどこでも、経験をしていることですが、これをはらいのけ、前進するためにも、この教育を基本にした党づくりは、一刻もゆるがせにできないことです。これは機関紙活動の前進にとっても、重大な問題であるということが、指摘されました。教育を基本にした党づくりということは党員の知力、活力、行動力をたかめる源泉なんだ、これを全党のものにしていくことが、いまひじょうに重大な問題であるということです。
 同時に重要なことは、支部を基礎にしたこの教育とともに、機関紙拡大の独自の追求、とりくみを機関の指導でつらぬくということです。

短期約束読者、元読者への対応を具体的に

 ここで、だされた意見、要望について、ふれたいと思います。福井同志から、「赤旗」読者拡大の中身をふかくつかむこと、つまりそれぞれの読者についても、短期約束の読者、元読者、新規読者など、具体的に掌握し、対策をたてていくという問題。また、「赤旗」の「別刷り」問題などについても、要望がだされました。福井同志の要望は、困難のなかでち密な計画をたて、実践してきたなかからの発言であり、重要な指摘です。それぞれの支部が、その地域、職場で拡大した読者一人ひとりについて、その状況がどうであるかをしっかり知り、それにおうじて具体的に対応していくということは、読者との結びつきをつよめるうえでも、また、選挙での勝利のためにも、重要な指摘であります。これはまた多くの同志が強調した点でもあります。
 また、「赤旗」別刷りについては、これは文字どおり「党活動版」であり、党員を対象にしたものであって、他の一般の記事や紙面とは、明確に区別してありますから、この点は、理解してほしいと思います。いずれにしても、大きな役割を果たしている「赤旗」でありますから、紙面の改善はさらに意欲的に努力していく、また「別刷り」の紙面についても改善をおおいに考えていかなければならない、その努力はいうまでもありません。
それから我妻同志から、パンフ普及の重要性についても紹介してほしいという要望がだされました。これはぜひ生かしていきたいと思います。

「赤旗」の陣地構築計画の具体化を

 発言で共通して指摘されたことは、いっせい地方選挙をまえにして「赤旗」の読者陣地の構築がおくれているという問題です。「赤旗」読者がこのままの状態では勝てないというところがあきらかになっているという問題です。
 この点でも「月間」が終わったあとのこの十一月からの拡大は決定的です。とくに地方選挙ではたたかう主体が支部になるわけですから、支部がこの「赤旗」の陣地構築問題をあらためて事実にもとづいて検討し、陣地構築の計画をどのように具体化していくかが重要です。
 同時に読者との結びつきをつよめること、さらに読者をひろげていくうえでも「読者ニュース」の果たす役割が大事だということが強調されましたが、これは意識的に発行を促進しないかぎり自然発生性にまかせておいたら現状から前進できないだけでなく、発行していた支部まで中止するようなことにもなります。指導上の目配りが大切です。
議員候補の過重負担の解消、パンフなど立体作戦の強化を
 最後に、とくに議員・候補者の配達・集金の過重負担の解決を十二月中にやるということをかさねて強調しておきたいと思います。
 この問題はいままでもくりかえし指摘をされてきました。しかしなかなか改善されていないからまた問題になる。このあしき惰性、これを重大な決意をもって大胆に、克服し実行することです。時間はあと四十日間たらずですけれども、かけ声だけに終わらないように、かならずこれをやりきらなければ、選挙そのものに影響します。かさねて強調しておきます。こんど党中央が困難な財政のなかから配達集金活動の体制を強化するために日刊紙の配達と日曜版の専任集金者の援助金を大幅に増額したわけですが、これを積極的に生かしていかなければなりません。
 さらに発言ではあまりありませんでしたが、討論をきいて強調しておきたいのは、「赤旗」日刊紙・日曜版の拡大とともに、さらにひろい層に働きかけていくために、パンフの普及とあわせて、『グラフこんにちは』、そして『女性のひろば』の拡大も意識的に、計画的にすすめることが大事であります。党紹介リーフの活用はいうまでもありません。こういう立体作戦の計画をたててそれぞれ具体化していくことがいまつよ全党にもとめられています。
 いずれにしても、いま大事なことは、第一は、十一月は「赤旗」読者を絶対に後退させることなく、かならず前進をかちとるということです。第二は、くどいようだけれども年内に議員候補者の過重負担を解消するという問題です。このことをかさねて強調して結語を終わります。
(「赤旗」一九九〇年十一月二十七日)

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