日本共産党第19回大会第2回中央委員会総会への金子満広副委員長の報告「『前進しつつ減らさない』機関紙活動の発展のために」(1990年)

「前進しつつ減らさない」機関紙活動の発展のために

金子満広副委員長の報告

 はじめに、この報告をどういう立場でおこなうか、そのことについてのべます。
 それは、機関紙の拡大を「月間」でなくとも、いついかなるときでも「前進しつつ減らさない」、こういう大会の決定をふまえて機関紙拡大を日常不断に、確固としてすすめること、いまそのかまえを全党的につくりあげることが決定的に重要であるということであります。
 そのために、全党の先頭にたつ中央委員会の深い意思統一をかちとることであります。この立場から具体的に報告をいたします。

一、「党大会記念特別月間」の到達点と教訓

 まず、歴史的な成功をおさめた第十九回党大会は、これまでの党大会では、大会時点では高い峰をきずきながら、大会後運動が中断したために、それを大きく後退させてきたという苦い経験、これを絶対にくりかえさない、そういう立場から「かちとった水準を後退させることなく、全党組織が『月間』目標をやりあげるところまで活動を発展させるため」として大会後も十月末まで「特別月間」を継続することを決定しました。
 そして、この三ヵ月間の奮闘の結果、大会後もくりひろげられたはげしい反共攻撃のもとでも、全党的には、第十九回党大会現勢を基本的に維持することができました。
そのなかで、全国で十二地区が自主目標を突破したのをはじめ、静岡、栃木、徳島の三県と四十二の地区が、大会後三ヵ月連続増勢をかちとりました。日刊紙、日曜版とも、あるいはそのいずれかで二十二の都県と二百十地区が大会現勢をこえて前進することができました。また十月度は、全都道府県と全国の九割以上におよぶ三百八地区が増勢となりました。
 これは、第十八回党大会直後の三ヵ月間で、全党的に二十三万四千部が後退をし、第十七回党大会直後の三ヶ月間では十七万九千部後退するなど、大会直後に連続的な大幅後退をかさねてきたことを考えるならば、第十九回党大会直後の「特別月間」の設定がいかに積極的な意義をもってきたかはあきらかであります。
 今回の「月間」の教訓ですが、第一に、イラク問題を利用した「自衛隊海外派兵法」のたくらみとたたかううえでも、また消費税の廃止やコメの輸入の自由化阻止など国民の生活をまもるうえでも、「赤旗」がいかにかけがえのない役割を果たしており、「赤旗」日刊紙、日曜版それぞれの役割と魅力、これをおしだして奮闘するならば、どこでも機関紙拡大の条件がおおいにひろがっていくということが鮮明になりました。実際にこの間の活動のなかで、どこでも自衛隊の海外派兵のたくらみをめぐって、平和のねがいが語られるなど、広範な人びととの対話がひろがり、他党の支持者をふくむ新たな階層のなかにも読者が拡大しているというのが特徴的でした。
 有識者の「赤旗」にたいする評価が一連の党の全国会議や「赤旗」紙上でもくりかえし紹介されましたが、マスコミの画一的右傾化のなかで、「赤旗」こそが国民の要求やねがいに真にこたえるものであるということが立証されました。
 第二は、今回の「月間」は、機関紙拡大だけでなく、教育を基本にした「前衛党らしい党づくり」にとりくみつつ、これを「月間」成功の力にしていくことを重視したことであります。長期にわたる反共攻撃の影響もあって、支部、党員の活動参加がなかなかひろがらないという状況のなかで、マニュアルにもとづく基本課程の教育をおこなった支部で、これを新たな知的エネルギー源として、「月間」の諸課題に積極的にとりくみ成果をあげるところが全国的に生まれたことは重要な教訓であります。
支部での基本課程教育を積極的にすすめ、同時にこれを力にして機関紙拡大への独自追求をつよめた県や地区で、機関紙拡大でも前進をかちとっている経験は、党活動の法則的前進方向をしめしたものであります。
 第三は、「月間」の重要課題の一つである読者との結びつき強化の課題についてであります。
 「読者ニュース」の発行については八月以降、一五%の支部、数にして四千三百四十九支部が新たに発行しました。これは党大会までの三ヵ月よりも六%、千六百支部の増加であります。九月の県・地区委員長会議では、この間の経験をまとめて「『読者ニュース』七つの効能」にまとめて紹介をいたしましたが、「読者ニュース」の活動は、読者との親しい結びつきという点でも、党活動の改善と多面的な前進という点でも、大きな役割をもつことが実践をつうじていっそうあきらかになりました。「『読者ニュース」を読みたいので」といって「赤旗」の購読をつづけ、また新しい読者が生まれた例も少なくありません。
 以上のような前進面はありましたが、ほとんどの党組織が「月間」でかかげた自主目標を達成できず、残・された目標も大きいことは重大であります。とくに二十五道府県と百三十地区が大会現勢を下まわっていることを直視する必要があります。その根本原因として重視しなければならないのは、先進的な党組織、党員の奮闘にもかかわらず、支部を基礎に全党員の自発的なエネルギーをひきだせず、運動のひろがりが不十分に終わったことであります。それは、この三ヵ月間に機関紙拡大で、成果をあげた支部が全国で六六%にとどまり、活動参加党員も大会前の「月間」を下まわっている状況にも端的にしめされています。これは教育を基本にした「前衛党らしい党づくり」が全体としてまだ緒についたばかりであり、十分すすんでいなかったということのあらわれでもあります。
 また、議員、および候補者や力のある党員の力量も一部をのぞいて十分発揮されたとはいえません。地方議員の成果は、大会をめざす「月間」の三ヵ月間の成果にくらべて、その半分にとどまっていたのが現状であります。
 教育を基本に支部を基礎にした自覚的な末ひろがりの運動をつくりだしていく点でも、また先進の「けん引車」としての役割を大きく発揮する点でも、「月間」のなかであきらかになったこれらの教訓や問題点をこんごの機関紙活動の前進に生かしていくことが重要であります。

二、「月間」の設定されていない時期でも機関紙活動独自のとりくみを

「月間」であろうとなかろうと機関紙拡大に日常的にとりくむ党活動の定着を

 「月間」は十月末に終了しましたが、「月間」で追求した機関紙拡大と読者の結びつき強化の課題は、激動する情勢のもとで、わが党が歴史的役割を発揮するうえでも、いっせい地方選挙と国政選挙での躍進を保証する機関紙の陣地の前進のためにも、全党が絶対に手をゆるめることなく、全力をあげてとりくまなければならない課題であります。「月間」の到達点自身もそれをつよくもとめています。
 「月間」をよびかけたときは、機関紙拡大が前進するけれども、「月間」が終わると、とりくみが極端に弱まるという状態は、絶対に克服しなければなりません。
 いま党内の一部には「六ヵ月間も「月間』にとりくんできたんだから」とか、あるいは「年末にむけて他にやるべき課題も多いから」とか、「機関紙拡大はしばらく休ませてほしい」とか、そういう考え方や気分から機関紙拡大をなりゆきにまかせたり、事実上タナ上げにする傾向が生まれています。こうした消極主義、受動主義の克服は、機関紙の拡大前進をつくりだすうえで、不可欠の課題であります。
 党大会の冒頭発言で宮本議長は、つぎのようにのべています。「発達した資本主義国での新しい社会変革は、文字どおり雄大な新しい歴史への挑戦であります。したがって、わが国のような条件のもとで、力関係を一歩一歩変えていくということは、非常に緻密な忍耐の積みかさねのいるたたかいなのです。だから、きびしい現実に耐えるということは、大きな勇気のいることであります。このことから、日本共産党をほんとうに鍛えぬかれた党として量質ともに着実につよくするという課題が、もっとも中心的に要求されてくるのであります」
 この指摘は「月間」が終わった後のいまの時期も、ひきつづいて、機関紙拡大のとりくみをすすめる姿勢とかまえを確立するうえで、正面からうけとめる必要があります。
 「赤旗」は多数者革命の中心的武器であり、その読者をふやし、読者と結びついて党活動をすすめるというわが党の機関紙活動は、大衆運動の発展にとっても、また大量宣伝、選挙闘争、党勢拡大、党財政の確立・発展をふくむ党活動のすべての分野にわたって、日本共産党と国民との結びつき、進歩と革新の事業を前進させるかなめに位置する、革命的、戦略的意義をもつものであります。それゆえにこそ、この原点を確固として堅持し、いついかなるときでも、「月間」のとき、「月間」でないときを問わず、機関紙拡大はつねに革命をめざすわが党の活動の中心的な任務としてとりくむ必要があります。
 機関紙拡大がもつ特別の困難性から、新しい局面で生まれている、「『月間』が終わったのだから」とか、そういった消極性、受動主義を断固として克服し、いまこそ「前進しつつ減らさない」機関紙活動の本格的な発展を、なんとしてもかちとらなければなりません。

「日本の革新運動の背骨」を太く大きく

 激動的な情勢のなかで、「赤旗」への期待と関心が、あらたにたかまっていることは新しい特徴であります。さきの全国都道府県・地区委員長会議でも紹介されましたが、マスコミが体制擁護の立場で、右傾化、画一化をつよめているとき、有識者のあいだから、「赤旗」なしには、日本のことも世界のこともわからない、そういう声がよせられています。また、あるマスコミ研究者は、党大会がのべた、「平和と革新の共同の機関紙」という評価をさらにすすめて、「まじめにものを考える人たちの共同の機関紙」とよんでいます。実際に、今回の自衛隊海外派兵法粉砕闘争でも、当初マスコミが政府の策動に同調するか無批判的な態度をとっているなかで、党と「赤旗」は、イラク問題の真に平和的解決の道をしめし、法案の本質を徹底的に暴露してたたかい、この勝利に重要な貢献を果たしてきました。
 自民党の「覚書」による海外派兵につながる新規立法のたくらみをはじめ、消費税問題やコメの輸入自由化問題などでも、反共野党の同調姿勢が表面化しているなかで、日本共産党と「赤旗」の役割の重要性をますます鮮明にしています。
最近、アメリカの反核組織が主催した全米遊説に参加した同志が、帰国後、アメリカの状況について、つぎのように語っています。「各地で、講演会の参加者などから共通してだされたのは、アメリカのブルジョア・マスコミの役割の問題で、”われわれはアメリカ国内のことも、世界でなにがおこっているかについても、ほんとうのことが知らされていない。真実を知るにはどうしたらよいか”という問いかけが、あちこちでおこなわれた」、このようにのべ、まともな前衛党やその機関紙がないなかで運動しているアメリカ各地の活動家の共通の苦悩をつよく感じたと報告しています。
 こうした状況は、おそらくヨーロッパその他でも共通のものであろうと思いますが、これにてらしても、確固として科学的社会主義の立場にたって国民の根本的利益をまもる日本共産党、その党の機関紙として、世界と日本の状況を科学の目でたえず解明している「赤旗」の存在が、いかに進歩と革新の事業の前進にとって、かけがえのない役割をもっているかあきらかであります。
 「赤旗」の役割におおいに確信をもち、機関紙の拡大に不断にとりくむことは、まさに「日本の革新運動の背骨をきずく」重大な任務であります。

機関紙の陣地構築は選挙準備の中心課題

 「赤旗」はそれぞれ毎日、毎週、定期的に日本共産党の見解や政策を読者に知ってもらう点で、もっとも安定した中心的な宣伝・組織活動の武器であり、「赤旗」読者は、選挙戦において量的にも質的にも基礎的支持勢力の中心をなすものであります。
 読者の陣地を選挙の勝利に必要な水準にまで拡大し、日常的に多面的に読者との親しい結びつきをつよめていくことは、「四つの原点」にもとづく課題の一つとして、目前にせまっているいっせい地方選挙戦、きたるべき国政選挙での党の躍進にとって不可欠の、選挙準備の中心的内容をなすものであります。ところが機関紙の陣地の現状は、読者の絶対数では、全国的に日刊紙で前回のいっせい地方選挙時を若干こえているが、日曜版ではなお一万部近く下まわっています。今回おこなわれる道府県議の現職区をみますと、日曜版で前回比一三〇%をこえているのは、わずかに一選挙区であります。一二〇%台がこれもまた一選挙区、一一〇%台が十選挙区、あわせて四十六選挙区が前回時を上まわっています。しかし、七〇%台が六選挙区、八〇%台が十二選挙区、あわせて五十九選挙区が前回時を下まわっているのが現実であります。さらに政令市議、一般市議、東京区議では、前回比で三割増以上の陣地をきずいているのは十数選挙区にすぎません。四百数十の一般市のうち、半分以上が前回時を下まわっている状況であります。
 選挙戦においては読者の絶対数とともに、その有権者比の高さが重要であります。この四年間で有権者が増加した選挙区が多いため、日曜版の有権者比でみると、道府県議の現職区のうち、三分の二が前回より後退しています。
 去年の天安門事件いらい、ふりまかれてきた「社会主義・共産主義崩壊」論による反共攻撃や、党大会を前後していっそう強化された反共宣伝は、広範な国民のなかに沈殿しています。最近の中間選挙の状況がしめすように、反共諸党派は選挙戦で、はげしい反共攻撃をくわえてくることは明白であります。四年前のいせい地方選挙にくらべても、反共攻撃が量・質ともにくらべようのないほどはげしくなっていることを考えるなら、機関紙の陣地構築の目標をやりぬくことは、党の躍進にとって不可欠の任務であります。
 最近の中間選挙の経験では、たとえば埼玉県の草加市議選挙で、新人一人をふくむ一議席増の六人全員当選をかちとり、得票、得票率とも前進をかちとりました。その草加市の党組織は、五月の時点で、日刊紙・日曜版とも、前回選挙時比八〇%台と大幅に後退していました。その機関紙の陣地を党大会前と党大会後の「月間」の奮闘で千八十八部を拡大し、前回比で日刊紙で一一〇%、日曜版で一〇四%に前進させました。これが攻勢的な大量宣伝、支持拡大と結合して、勝利の重要な力になってきたのであります。こうした経験は基礎的陣地が前回比で大きくおくれているところであっても、とりくみをつとめるなら、短い期間に基礎的陣地の構築をすすめて、選挙勝利の土台をつくりあげることができることを現実にしめしています。この教訓は、全国的におおいに生かさなければなりません。

機関紙活動の推進方向

 前進しつつ減らさない機関紙活動の推進のために、以上の立場を堅持して、各級機関と支部・グループは日本共産党と「赤旗」の今日的役割をあきらかにし、機関紙拡大の重大な意義を全党の自覚とする政治的・理論的指導の徹底を重視しつつ、選挙準備のなかで、機関紙拡大の独自の追求をゆるめず、それぞれの目標達成のために全力をつくさなければなりません。その点でとくに強調しておきたいことは、機関が確固とした決意と指導姿勢をつらぬくことが、重要だという問題であります。
 いっせい地方選挙での躍進をめざし、七〇年代に「前回比三割増」を合言葉にして、連続して躍進をかちとったことを教訓にして、機関紙拡大でおおいに積極的な目標をかかげてとりくむことが党大会決定でも強調されています。この立場にたってすべての党組織が、一日もはやく自主目標を達成して、さらに前回選挙時の三割増以上など、積極的な目標をやりとげる意気ごみで機関紙拡大にとりくむことが必要です。
 とくに、いっせい地方選挙をたたかう主体となる支部を基礎にした機関紙拡大を重視し、すべての支部が選挙で政治目標の実現をめざし、自分たちが責任をもっている地域や職場に、どれだけの「赤旗」日刊紙・日曜版の読者をふやし、有権者比、労働者をどこまでたかめていくか、目標と計画をもち、それを毎月、毎週のとりくみに具体化して確実にやりとげていくことが大切であります。
 そのためにも教育を基本とした「前衛党らしい党づくり」の推進、とくに支部でのマニュアルにもとづく基本課程教育を全支部員参加でとりあげる必要があります。基本課程教育をすすめることは、支部を基礎にした機関紙の自覚的で持続的な拡大の土台であります。一部に支部でマニュアルにもとづく基本課程教育をやったが拡大がすすまない、などの意見があります。これは機械的な狭い考え方であります。支部を基礎に教育を基本とした「前衛党らしい党づくり」をすすめつつ、これを力に読者拡大の独自追求を強化することによって、拡大への参加者も末ひろがりにひろげて、新しい前進をかちとっている経験は、全国各地に生まれているのであります。こうした経験を全党の大きな流れにしていくことが、いま、つよくもとめられているのであります。
 土曜日、日曜日の活動だけにたよらず、平日での活動をつとめ、持続的で自覚的な機関紙拡大を促進するために、宣伝紙の計画的な活用、そしてパンフ、『グラフこんにちは』、『女性のひろば」、リーフなどをもっ拡大推進班による機関紙拡大の立体作戦”をつよめることが必要であります。また地方議員・予定候補者が機関紙読者の陣地構築の先頭にたつとともに、議員候補者の援助で後援会と一体となった機関紙拡大のとりくみをつよめなければなりません。

「読者ニュース」をはじめとする読者との結びつきの強化

 「読者ニュース」の発行は、党と読者との日常的な結びつきのカギであり、いっせい地方選挙にむけて党支部が「読者ニュース」を発行し、読者との日常的な結びつきをつよめることは、選挙の勝敗に直接結びつく、重要な任務であります。
 「月間」三ヵ月をとおして、鹿児島が支部の四四・一%、山口が支部の二九三%で発行をしてきましたが、一〇%に満たない県が、福島、神奈川、埼玉、栃木、三重、和歌山、広島、高知、熊本、沖縄の十県もあります。こうした現状は早急に打開することが必要であります。
 「読者ニュース」の発行をさらに徹底するためには、指導機関が「七つの効能」など、「読者ニュース」の・発行の重要な意義、役割についてよく討議し、その位置づけをあきらかにしてとりくむことが大切であります。
 同時に全支部での発行をめざして、県、地区機関は、「赤旗」紙面の企画や「読者ニュース」に載せる身近な話題や材料、すでに発行されている「読者ニュース」の経験を全支部に知らせるとか、講習会、経験交流会をひらくなど、さらに機関役員や議員・候補者が支部を積極的に援助するなどして、具体的な指導と援助をつとめることが必要であります。
 「読者ニュース」の活動とともに、二月の総選挙やそれ以後の中間選挙の積極的経験を生かして、支部を基礎にした読者会、小集会を無数にひらくことが、読者との多面的な結びつきをつよめ、党をいっそうよく知ってもらい、選挙での積極的な協力を組織していくうえで重要な課題であります。

配達・集金問題――議員・予定候補者の過重負担の解消をどんなにおそくとも、年内に

 配達活動では、毎月、欠配が二千数百部、遅配が十七万部余りというのが現状であり、この状況が改善をされていません。
 集金活動では、毎月、全国的に約九割までは月内のうちに集金をするものの、一割前後の読者の集金を党の側の責任によって翌月に残すという状況がつづいており、二ヵ月以上の未集金は、毎月約七万件にのぼっています。このため中央への機関紙誌代の滞納がふえ、ことし一月以来十月末までで、東京が二千八百五万円、沖縄が二千六百二十五万円、大分が二千二百三十八万円をはじめ、福岡、山梨、鹿児島、和歌山愛知、茨城、岩手、福島、兵庫、広島、山形のあわせて十四都県が一千万円以上の滞納であります。また、百万円以上の滞納をしている地区が百二地区にもなっています。こうした状況は、減紙の大きな原因をつくりだしているだけでなく、読者との結びつきを破壊し財政的にも大きな困難をつくりだす結果となっているのであります。
 この打開のために、「月間」のなかでも配達・集金活動への参加をふやす努力がつよめられ、新しく参加者が千五百六十三人ふえました。しかし、機関紙活動の土台をささえる配達・集金活動のもつ重要な意義を徹底し、党員の自覚をたかめて支部を基礎に配達・集金参加者をさらにふやす努力をつよめなければなりません。
 とくに、選挙を目前にして議員・予定候補者の過重負担は、候補者活動にも大きな障害となっており、その解決は急務であります。配達では全議員の五二・五%、集金活動では六八・四%が五十部以上の過重負担状態におかれています。集金では佐賀が九三・三%、富山が八七%、大分八六八%をはじめ、宮崎、山口、香川、岐阜、埼玉、長崎、岡山の十県が、議員の八割以上が過重負担となっています。
 いっせい地方選挙が目のまえにせまっているときであり、議員・予定候補者の過重負担の解消はおそくとも十二月中にやりとげなければなりません。地区常任委員、常任出張所員の直接配達・集金のもちすぎの改善もあわせてすすめることはいうまでもないことであります。
 この改善のためには、専門部まかせにすることなく、機関として現状とその解決の対策を具体化し過重負担のリアルな実態を支部、党員によく知らせてとりくみをつよめていくことであります。
 その際、党中央がこんど、配達・集金の体制強化のために、きちんと配達し集金している現場の活動家に援助金が厚く支給されるように、とくに日刊紙の配達と日曜版の専任集金の援助金を大幅に増額することにした措置を生かして、専任配達員や専任集金者などの制度も積極的に活用していく必要があります。
 全国的には、過重負担を解決し、長期にわたって毎月確実に、すべての読者から集金し、読者との結びつきを大切にして、財政活動でも前進の大きな力にしている地区や支部も少なくありません。これらの党組織の経験がしめすように、集金の乱れを根絶するには機関と支部で集金活動の重要な位置づけを明確にして、毎月の「集金サイクル」をまもり「二十五日までの集金を八割、九割の水準にまで高める」という方針を堅持して機関幹部、議員、活動家が先頭にたってとりくむことが重要であります。
 その点で月末にむけて、いろいろ多忙な時期でも、やるべきことは確実にすすめる、こういう指導上の目配りが重要であります。それだけに、この課題を前進させていくうえで、とくに、”機関の長”の役割と責任がつよくもとめられているわけであります。


 内外情勢の激動は、わが党の奮闘と「赤旗」のいっそう大きな役割の発揮をもとめています。機関紙活動で新たな前進をきりひらくことは、ますます切実で重要な課題となっています。機関紙拡大をすすめ、読者との結びつきを強化して、きたるべきいっせい地方選挙での躍進をかちとるために、不退転の決意でとりくんでいくことを訴えて報告を終わります。
(「赤旗」一九九〇年十一月二十六日)

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